渋谷で軽トラひっくり返せる男の方が普段は女にはモテる。
どうも。ウォッシャブル池田(@Trickster_EP)です。
2018年、ハロウィーンでの渋谷軽トラ横転事件の犯人が、4人逮捕されました。
警視庁が、周辺の監視カメラや、周りのパリピが撮影した情報を解析したり、聞き込みをしたりした情報から17歳〜37歳の男を15人ほど特定し、中でも特に悪質な4人を逮捕、11人を書類送検したそうです。警察有能ですね。
また今年の渋谷のハロウィーンでは10月27日~11月1日の間に窃盗や暴行、痴漢などの疑いで計19人が逮捕されているようです。
彼らは、「集団的器物損壊」という罪で逮捕されました。
器物損壊罪は知っていても、「集団的」とついているものってあまり聞きなれないですよね。
今日はこの集団的器物損壊について法学部出身の僕が解説します。
渋谷軽トラ横転に適用された集団的器物損壊とは?
集団的器物損壊は、器物損壊罪とは違い、刑法ではありません。
暴力行為等処罰ニ関スル法律(ぼうりょくこういとうしょばつにかんするほうりつ、旧字体: 暴力行爲等處罰ニ關スル法律、大正15年4月10日法律第60号)に定義されています。
これは刑法を補足するための法律の一つで、特別刑法と呼ばれるものです。
暴力行為等処罰ニ関スル法律は「暴力行為法」、「暴力行為等処罰法」などと略され、団体、または集団による暴行、脅迫、器物損壊、強要などの犯罪行為を特に重く処罰する、加重規定です。
暴力行為法の刑罰はどんなの?ちゃんと裁かれる?
そもそも集団的器物損壊を規定している暴力行為等処罰ニ関スル法律は、集団による犯罪的行為を器物損壊罪よりも重く処罰するために規定されている法律です。
立法趣旨としては、政府が労働運動としての同盟罷業(ストライキ)を封じるためというものがあります。(元は治安警察法17条に由来)
また、2009年からは学生運動の取締りにも用いられていて、法政大学の「全学連」のメンバーが看板などを共同して破壊した行為で逮捕されています。
学校などでの「いじめ」も暴力行為法の対象となる場合があります。実際には福岡県で中学生がいじめで自殺した事件で適用され、14歳の中学生3人が書類送検されています。
集団的器物損壊の量刑は?懲役になる?罰金になる?
器物損壊罪の量刑も、暴力的行為法のうち集団的器物損壊の量刑も、「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金もしくは科料」となっています。
器物損壊の量刑の相場は、懲役刑となった場合には、6か月から2年未満の刑期です。
具体的には、約50%が1年以上2年未満、約38%が6か月以上1年未満です。
また、刑期が3年未満の場合は「執行猶予」が付く可能性があり、器物損壊罪の場合には約62%に執行猶予が付与されています。
罰金刑の場合の相場はだいたい10万円から30万円となっており、そのうち20万円代が約43%、10万円代が約38%になっています。
今回は、器物損壊ではなく集団的器物損壊で、壊したものも軽トラとそこそこ高いものです。
僕も現場の映像を見ましたが、かなり危険性の高いものになっていたため、相場よりも重い判決が出るのではないかと思っています。
(参考)暴力行為法の構成と条文は?
暴力行為法の構成
1条(集団的暴行、脅迫、毀棄の加重)
1条の2(銃砲刀剣類による加重傷害)
1条の3(常習的な傷害、暴行、脅迫、毀棄の加重)
2条(集団的、常習的な面会強請・強談威迫の罪)
3条(集団的犯罪等の請託)
暴力行為法の条文
第1条 団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して刑法(明治40年法律第45号)第208条(暴行罪)、第222条(脅迫罪)又は第261条(器物損壊罪)の罪を犯したる者は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処す
第1条の2 銃砲又は刀剣類を用ひて人の身体を傷害したる者は1年以上15年以下の懲役に処す
2 前項の未遂罪は之を罰す
3 前2項の罪は刑法第3条、第3条の2及第4条の2の例に従ふ第1条の3 常習として刑法第204条(傷害罪)、第208条、第222条又は第261条の罪を犯したる者人を傷害したるものなるときは1年以上15年以下の懲役に処し其の他の場合に在りては3月以上5年以下の懲役に処す
2 前項(刑法第204条に係る部分を除く)の罪は刑法第4条の2の例に従ふ
第2条 財産上不正の利益を得又は得しむる目的を以て第1条の方法に依り面会を強請し又は強談威迫の行為を為したる者は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処す
2 常習として故なく面会を強請し又は強談威迫の行為を為したる者の罰亦前項に同し
第3条 第1条の方法に依り刑法第199条(殺人罪)、第204条、第208条、第222条、第223条(強要罪)、第234条(威力業務妨害罪)、第260条(建造物等損壊罪)又は第261条の罪を犯さしむる目的を以て金品其の他の財産上の利益若は職務を供与し又は其の申込若は約束を為したる者及情を知りて供与を受け又は其の要求若は約束を為したる者は6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処す
2 第1条の方法に依り刑法第95条の罪(公務執行妨害罪)を犯さしむる目的を以て前項の行為を為したる者は6月以下の懲役若は禁錮又は10万円以下の罰金に処す
まとめ
今回は、「集団的器物損壊」という聞きなれない刑罰についてまとめてみました。
渋谷ハロウィン軽トラ横転事件のようなことを起こした犯人が捕まって本当に良かったです。
そして集団的器物損壊は、ただの器物損壊罪よりも重い刑罰になることが一般的です。
ハロウィーンだからってやっていいこととダメなことの区別もつかずにハメを外しすぎるチンパンジーどもに、無慈悲な法の裁きが下ることを切に願っています。
それでは。